2016年11月7日月曜日

逆くしゃみ

くしゃみとは「特定の刺激を受けた時に、空気を鼻と口から一気に吐き出す現象」です。
逆くしゃみはその逆で、空気を鼻と口から一気に吸い込む現象です。

とくに小型犬であるチワワやトイプードルなどによく見られます。
「フガフガ!」「グアーグアー!」「ブエェッ!」というような、豚が鳴いているような音を愛犬が突然出したら逆くしゃみの可能性が高いです。
逆くしゃみは短時間で止まる現象なので、止まった後は犬もケロッとしています。

残念ながら、原因や治療法については解明されていません。ほとんどが生涯にわたって時々この逆くしゃみ発作を起こしますが、この逆くしゃみが原因で死んでしまったり、他の疾患を引き起こすことは無いようです。

応急処置として、ワンちゃんがリラックスできるように胸をさすってあげたり、鼻先に息を吹きかけると治まることもあるようですが、ほとんどは数分で自然に止まります。

その他に、実際の病気として心臓病や肺の病気による咳(喉に引っかかったものを吐き出すようなケッ、ケッという仕草)や気管の病気によるガチョウがガーガーと鳴くような呼吸音、鼻炎による本物のクシャミもありますので、判断が難しい場合は、デジカメや携帯のカメラ等で動画を撮影して持ってきていただけると助かります。

膀胱炎

10月も終わり、だいぶ気温も下がってきました。
特にこの寒い時期に重症化しやすい病気が「膀胱炎」です。

ほとんどの場合、排尿の異常に気付いて受診されます。
✳︎排尿の回数が増えた
✳︎トイレに何回も行くのに尿があまり出ていない
✳︎排尿時に痛そうに鳴く
✳︎血尿                                    などです。

膀胱炎の原因はいくつかありますが、比較的多いのが尿石症や細菌感染による膀胱炎です。
尿石症とは膀胱尿管内に結石ができてしまう病気で、特に石になる前の砂状の結石が多量にできる事が多いです。
結石にはいくつか種類がありますが、最も多く見られるのがストラバイトという種類のもので、多くは食事療法で溶解させて治療する事ができます。

頻尿や血尿といった膀胱炎症状のみであれば抗生剤や食事療法で治療することができますが、尿道閉塞という症状の時は命に関わる緊急疾患となります。
特に男の子はは尿道先端が非常に細くなっており物理的に詰まりやすいので注意が必要です。

膀胱炎だけなのか、尿道閉塞があるのかは症状だけでは判断できない事があります。
頻尿や血尿が見られたらすぐに受診して検査を受けるようにしてください。

2016年9月1日木曜日

外科研修に行ってきました

先日は長期のお休みをしまして、皆様にはご迷惑をおかけいたしました。今回も米国外科専門医のB.ビール先生のご指導のもと、整形外科の実習に参加してきました。日本人は僕一人です。
今でも大抵の手術は出来るのですが、さらなる技術向上は医師としての使命と思っております。






2016年8月25日木曜日

まだまだ暑いですね

すごく暑い日が続いたかと思えば、台風で雨が続く毎日…

ここ数週間は天気の移り変わりがとても激しい期間でした。



それもあってか、ここの所 お腹の調子を悪くして来院するワンちゃんネコちゃんが急増中です。暑さが原因かどうかはわかりませんが、動物たちもお腹が弱っている可能性があります。

ヒトの方では、『気象病』というものがあり、近年認知されつつあるのですが(気象の変化によって症状が出現する,あるいは悪化する疾患のことを指す)、気象の変化で体調が崩れる・・これは人に限ったことではないのかもしれません。



もうすぐ8月が終わるとは言え、まだまだ暑さは続くため 食べ慣れたものであっても、傷みやすい場所に置かない、フード以外の食べ物は与えないなど より一層の注意が必要です。

お出かけも一番暑い昼の時間帯は避けたり、お留守番させる時もエアコンをつけるのを忘れないなどなど、いつも以上に気を付けてあげてくださいね!


下痢や吐きが何日も続くようであれば、すぐに当院にいらしてください。

2016年6月30日木曜日

意外な危険な食べ物

ここ最近、飼い主様の見ていない所でお家で育てている植物を
わんちゃん・猫ちゃんが食べてしまい吐きが止まらなくなったという方が多くいらっしゃいます。

食べてはいけない食べ物は、「玉ねぎ、にんにく、ニラ、ぶどう、チョコレート」など
比較的ご存知の方が多いと思います。

しかし、ご自宅で育てている花や散歩コースの途中にある草木など、植物にも危険なものがあるのです。

≪危険な植物≫

*ユリ…腎毒性
*チューリップ…心臓毒、痙攣、皮膚のかぶれ
*レンゲツツジ…痙攣
*シクラメン…神経症状
*アジサイ
*アサガオ
* アロエ
*菊
*ツツジ
*ヒガンバナ
*スズラン                        など

植物はどこの部分を食べたかによって、症状が異なることや中毒の重症度も違うため、注意が必要です。


≪症状≫

・嘔吐 ・下痢 ・元気食欲の低下
・腹痛 ・皮膚の異常         など


もしも心当たりがある場合は、すぐに動物病院に連れていくようにしましょう。

熱中症

6月も終わりに近づき、気温が30度を超える日も増えてきました。
これからの時期に一番気をつけなくてはならないのが「熱中症」です!

≪熱中症とは?≫

私たち人間も含め動物たちは、体温を常に一定に保って色々な働きを維持しています。
しかし、高温で換気のできない場所に長時間いると 体温調節ができなくなり体の熱も上昇します。

すると、呼吸しづらい、脱水を起こす、血液循環が悪くなる、
ショック症状を起こすなどの症状が見られるようになり、最悪の場合は死に至ることもあります。

特に犬・猫は人間のように全身で汗をかいて体温を下げることはできない ため、
より熱中症になりやすいのです!!

≪主な症状≫

*急激な体温上昇(40℃以上)
*口呼吸
*よだれ
*脱水
*ぐったりする
*チアノーゼ(舌や歯ぐきが青くなる)
*痙攣
*ショック症状
*意識がなくなる

≪家でできる対処法≫

まずは体温を下げること!!

☆冷たい水をたくさん飲ませる
☆冷たい水で濡らしたタオルを体にかぶせる
☆バケツで冷水を直接体にかける

⇒冷やした状態のまま、できるだけ早く病院に連れてきてください。

≪予防≫

暑い時期のお散歩は、お昼の 時間を避け、朝か夕方以降がおすすめです。
留守番の際は、室内の風通しに気をつけ、エアコンをつけてあげましょう。
また、水分補給も大切です。お水は常にきらさないよう注意してみてあげてくださいね。

2016年5月9日月曜日

怖い膵炎

最近、急に食欲も落ち、吐きが止まらないといった症状が見られた場合
「急性膵炎」という病気の可能性を考えなくてはなりません。

膵炎は、膵臓から分泌されるトリプシノーゲン(タンパク分解酵素のトリプシンの前駆物質)というものが
何らかの原因で活性化され、自分の膵臓の組織を溶かしてしまう(自己消化)ことにより発症します。

症状としては、激しい腹痛、元気食欲低下、嘔吐、下痢(血便)、発熱などが見られます。

膵炎を予防するには、普段から栄養の偏りのない良質なフードを与えてください。
基本的には、市販で売られているドックフード・キャットフードはメーカーさんが 栄養のバランスを考え作られているため
それ以外に特におやつなどあげる必要はありません。

余計なおやつなどをあげず、できるだけ低脂肪のご飯をあげることをお勧めいたします。

マダニにご注意ください

これからの暖かい季節、レジャーなど行かれる方に気をつけてほしいのが「マダニ」です。
マダニは公園や河川敷、田んぼや山の中などに潜んでいます。

なぜマダニに注意してほしいかというと、マダニによって媒介される「バベシア」という原虫によって引き起こされる怖い感染症があるからです。
バベシアはマダニが吸血するとき、血管内に注入され、赤血球を破壊しながら成長していくため、短期間で重篤な貧血を引き起こします。
ほかにも、高熱、元気・食欲の喪失、血尿などの症状があり、幼犬や高齢犬の場合、死に至る場合も少なくありません。

もしも、ご自分のペットにマダニがついてるのを発見したら 、素手で取ったりつぶしたりすることは絶対に避けてください!!
マダニの口の部分が皮膚に残ってしまった場合、そこから膿んでくることもあるので、すぐに当院にいらしてください。

当院には、スポットタイプのマダニ予防のお薬をご用意しています。
詳細はお気軽にご相談ください。

2016年4月23日土曜日

ワクチンの選び方は?

気温も暖かくなり、やっと春が到来してきました!
春と言えば、動物病院では予防シーズンでもあります。
わんちゃんを飼っている方は「混合ワクチン」を1年に1回打っているかと思います。
でも、5種がいいの?6種?はたまた8種?などと迷われる方が多いですよね。

当院では、犬の混合ワクチンは
*5種混合ワクチン
*6種混合ワクチン
*8種混合ワクチン を使用しています。

これらの違いは、「レプトスピラ感染症」の予防が含まれるかどうかです。

レプトスピラ感染症は主にネズミによって媒介される伝染病で、
病原性の高いタイプでは死亡率の高い感染症です 。

ネズミによって媒介される病気なので
「ネズミがいそうな場所に行くかどうか」がワクチンを選ぶ基準になります。

たとえば、キャンプ場、河川敷、山などが具体例ですね。

猫風邪にご注意を

子猫を飼い始めた方に、注意していただきたい病気が「猫風邪」です!

猫風邪とは、ヘルペスウイルスによる「猫ウイルス性鼻気管炎」
「猫カリシウイルス感染症」「猫クラミジア感染症」などが混合感染してみられる病気です。

症状としては、
*くしゃみ *涙目
*鼻水    *目ヤニ
*発熱   *口内炎 などが見られます。

猫風邪が厄介なのは、一度感染すると 体内にウイルスが留まり続けることです。
いったん回復しても、体調が悪かったり、免疫力が落ちてくると、再発することがあります。

猫風邪を予防するには、ワクチン接種が一番の方法です。
100%予防できるというわけにはいきませんが、接種しておけば 万が一発症したとしても症状が軽く済みますし、
一度感染して体内にウイルスを持っている猫ちゃんでも、定期的なワクチン接種で免疫を高めることで、再発を抑えられます。

また、猫風邪がわんちゃんや人間にうつることはありませんが、
猫同士では咳やくしゃみな どでうつってしまうので、多頭飼育の方は隔離するなど気をつける必要があります。

2016年3月12日土曜日

ワクチンアレルギー

待ちに待った春も近づき、動物病院は予防シーズンの季節になってきました。


わんちゃん、猫ちゃんのワクチンを打ってもらう際に必ずと言っていいほど
獣医師から副作用に関する説明があるかと思います。
(ここでいうワクチンとは『狂犬病ワクチン』と『混合ワクチン』のことです。)

では、具体的に副作用とはどんなものなのか?

まず、ワクチン接種によるアレルギーの発症率は、約5000分の1の確立と言われています。
症状は大きく二つに分けることができます。

☆即時性アレルギー:一般にアナフィラキシーショックと言われるもので、ワクチンを接種してから
               15分以内に痙攣・麻痺・急激な血圧低下などが見られます。このような症状が
              出た場合、命に関わるためすぐにご連絡ください。

★遅延性アレルギー:ワクチン接種後24時間以内に起こると言われ、鼻や眼の周りがぷくっと
              膨れたりかゆがる、また嘔吐や下痢の症状がみられることもあります。
              

いずれにしてもワクチン接種後、何らかの異常が見られた場合すぐにご連絡ください。

また、以前ワクチンを打った際にアレルギー反応が起きた経験のある子は
事前に何種のどのメーカーさんのワクチンで副作用が出たかを教えていただける と助かります。

2016年2月7日日曜日

爪切り

「家での爪切りが難しい…」
「爪切りに挑戦したいけど適切な頻度ってどのくらい?」

などなど、ペットの爪切りに関する疑問はたくさんあると思います。

まず基本的に爪切りの頻度としては、散歩にいく回数でも変わってくるのですが
「2~3週間に一回」で大丈夫です。

爪が白い犬は血管が薄く透けて見えますから、
血管の通ってない部分を1~2mm程度残して切ります。

黒い爪の子は分かりにくく より難しいと思いますが、
真ん中に透明の芯のようなものが見え始めたらそこが目印です。

犬の爪を切らずに放置しておくと血管や神経が伸び過ぎてしまったり、
巻き爪になってしまったり、肉球にくいこんでしまったり…など危険です。

ご自宅での爪切りが難しければ、当院で爪切りのみでも行っておりますのでぜひいらしてください。

2016年2月1日月曜日

乳腺腫瘍について

ご自宅で飼っているわんちゃん、猫ちゃんのおっぱいに
なにかコリコリとしたしこりがある場合、「乳腺腫瘍」の可能性があります。

【犬の乳腺腫瘍】
・乳腺に発生した腫瘍のうち、50%が良性、50%が悪性と言われています。
・良性・悪性にかかわらず、腫瘍の表面が崩れる(自潰)ことがあります。
・悪性の場合、末期には肺転移による呼吸困難をひきおこし、これが原因で亡くなることが多くみられます。
悪性の場合でも早期発見で広範囲の外科切除により根治の可能性があります。

【猫の乳腺腫瘍】
・転移性が高く、早期にリンパ節・肺・全身に転移します。また、80%が悪性と言われています。
・腫瘍の表面が崩れる(自潰)ことがあります。
・末期には、肺転移による呼吸困難をひきおこし、これにより亡くなることが多いです。
・早期発見で広範囲の外科切除により根治の可能性がありますが、しこりの大きさが2cmを超えている場合はすでに転移していることが多いです。

≪治療法≫
*外科手術
*抗がん剤などによる補助治療


乳腺腫瘍は早期発見、早期治療がとても重要です。
特に猫の場合ほとんどが悪性であることが多いため、乳腺に少しでもコリコリとしたものをみつけたらすぐに受診しましょう。