2017年8月7日月曜日

尿石症

泌尿器疾患の中で一番多く遭遇する病気は膀胱炎です。

膀胱炎に次いで多いのが『尿石症』です。

尿石症は尿路(腎臓~尿管~膀胱~尿道)のどこかで石ができてしまい、
それに伴って排尿痛や血尿、排尿困難などの症状を呈するものの総称です。

尿石の中でも、ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石という種類が最も多くみられます。

ストルバイト結石に関しては、正式名称はリン酸アンモニウムマグネシウム結石と言います。
名前にミネラル成分としてマグネシウムMgが入っています。この石はオシッコがアルカリ性になると形成され易くなります。
ですので膀胱炎など細菌が 感染している状況では尿がアルカリになりますので石ができやすく
お肉ばかり多く食べていると同様に尿はアルカリ性になってしまうので石ができてしまいます。
この結石は尿が酸性で維持されていると形成されにくいという点と、"溶ける"という性質があります。
溶けるといってもお水に砂糖を溶かすような感じではなく、徐々に石の形が崩れて小さくなってきて...という具合です。
ですので、ストルバイト尿石症の場合には内科的に石を溶かす治療を行うことが第一となります。
あまりにも大きい石や混合タイプの石、症状が強くでている場合には内科治療よりも外科治療を先に行う場合もあります。

もう一つのシュウ酸カルシウム結石は、名前にカ ルシウムが入っていますので、カルシウム分を多く与えていると出来やすくなります。
こちらの方はオシッコの酸性アルカリ性には左右されません。
昔はアルカリ側で形成され易いといわれておりましたが、研究が進むにつれてpHは特に関与しないことがわかりました。
血液の中のカルシウム成分が多いと石ができやすくなってしまいすが、かといってカルシウムを摂らないでいると骨が脆くなり、
骨だけでなくカルシウムは体の中で大切な役割を果たす成分になりますので、必要以下には減らすことはできません。
しかしその必要分しか摂取していなくても石ができてしまうという場合の多くは体質が関係しています。

"体質" "食事内容"

この二つが尿石症の原因となりやすい要因です。

体質に関してはなかなか対策が難しいものがあります。
しかし食事に関しては、過去のオシッコトラブルの有無や動物の種類などから、尿石が出来やすいのかそうでないのかを把握する事が可能です。
尿石症になってしまう前に、今一度食事内容を振り返ってみてはいかがでしょうか。

エアコンの設定温度は?

夏といえば、一番に気をつけていただきたいのが『熱中症』!!

そこで、病院でもよく「部屋の温度は何度くらいにすればよいですか」と質問されます。
皆さんはエアコンを何度に設定していますか?

エアコンの温度設定は、部屋の広さや日当たりなどによって異なりますが、当院では20~25度くらいと説明しています。
人が快適だと感じるか、もしくは少し肌寒いくらいの室温がペットにはちょうどいいようです。
ただし、短頭種(鼻の短い種類)、肥満や持病(呼吸器疾患、循環器疾患)があるペットなどは暑さにとても弱いのでさらに注意が必要です。
一方で、若齢や高齢のペットは寒がりだったりするため、室温を下げ過ぎないようにしてください。

また、湿度は60%以下で、理想は50%です。
ここ最近、また台風が近づき、雨の日が多くなるなどと、湿度が高い環境が続く傾向があります。
温度だけでなく湿度にも注意が必要なんですね。

2017年8月4日金曜日

マダニにご注意を

先日、広島県三原市内の90代の女性が重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症して亡くなったことを、県感染症・疾病管理センターが発表しました。これは、ペットでは良く知られている『マダニ』に刺されたことが原因とされています。

■SFTSとは?
SFTSウイルスに感染することです。ウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染すると言われています。また、人から人への感染は認められていますが、動物から人への感染については報告されておりません。

潜伏期:6日~2週間

■主な症状は?
発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)。また、頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状が起きることもあります。

■ペットにマダニが寄生するのを防ぐには?
動物病 院でネクスガード、フロントライン プラスなどの適切な駆除薬を処方してもらい定期投与を行いましょう。あらかじめネクスガード、フロントラインプラスを投与しておけば、マダニが付着しても48時間以内に概ね死んでしまいます。(※マダニの付着自体を防ぐことはできません)

■気をつける点は?
  • ①散歩の際に山野や草むらに入る場合は、長袖長ズボン、帽子を着用するなど肌の露出をさけ、マダニに咬まれないようにしましょう。
  • ②散歩から帰った際には、人間・犬猫ともにマダニに咬まれていないかチェックしましょう。
  • ③犬猫の場合、被毛の薄い目・鼻・耳・指の間などを重点的に観察してください。
  • ④もしも咬まれていた場合は無理に引き抜こうとせず、医師(皮膚科)・獣医師の診察を受 けましょう。
  • ⑤ご自身が咬まれた場合、数週間は体調の変化に注意をして発熱等の症状が現れた場合は医療機関を受診しましょう。