2014年5月19日月曜日

胸腺腫の手術をしました

胸腺は犬や猫では、胸の前方に位置する器官です。人と同じように成長の過程でどんどん退化して小さくなっていきますが、高齢化しても大部分のワンちゃんにその存在が確認されています。
胸腺腫とは、この胸腺と呼ばれる組織が腫瘍化したもので、高齢のワンちゃんや猫ちゃんにまれに発生する腫瘍です。通常は良性の腫瘍とされており、転移する事は滅多にありません。
しかし、腫瘍が大きくなると肺や心臓を圧迫する事によって呼吸困難などが起こります。
また、腫瘍による間接的な重症筋無力症や、それに伴う食道拡張症が起こる事があります。
食道拡張症が一旦発症しますと、肺炎のリスクが大きくなり、予後は厳しいと考えられてます。

胸腺腫の治療の第一選択は外科治療です。一般的に70%の腫瘍は切除可能とされています。当院ではCT検査を行ったあとではありますが、100%の摘出率を誇っております。
 
切除不能と判断した場合には、放射線や化学療法により、腫瘍の縮小や臨床症状の改善を図ります。

胸腺腫瘍は腫瘍が大きくなるまでは臨床症状がなく、早期発見の難しい病気です。定期的な健康診断に胸部レントゲン検査を加える事で早期発見する事ができます。
検査は当院でもできますので、ぜひ一度ご相談ください。
                              院長 荒川