2012年10月10日水曜日

脳下垂体腫瘍摘出術

今回も大学病院での症例です。 皆様、副腎皮質機能亢進症、あるいはクッシング病 という病気をご存知でしょうか? この病気は主に犬ちゃんで起こる病気ですが、 脳にある、下垂体という部分が 腫瘍化する為に起こってしまう病気です。 町病院での対処療法ですと、飲み薬で血液中の ホルモン物質を消すという方法がありますが、その方法ですと さじ加減が非常に難しいのです。またお薬の量がうまく調整できたとしましても 病気は徐々に進行します。 我々のチームでは、根本的な治療としまして 下垂体を摘出するという治療を行っております。 この方法で我がチームは良好な結果を出しております。 ご興味のあります方、どうぞご遠慮なくお訪ねください。

2012年9月5日水曜日

免疫介在性関節症

昨日の大学での診察にいらした猫ちゃんです。
その子は以前より前足の跛行があるとのことで
町の先生からの紹介を受けました。
検査を進めていってわかった病気は
免疫介在性の関節炎、わかりやすくいいますと
人でいうリュウマチのような病気でした。
この病気は、犬ちゃんではまれにみられるのですが
猫ちゃんでは珍しいです。我々大学病院でも一年に一件
あるかないか、ぐらいの病気です。
我々整形外科チームは骨折や脱臼だけではなく、
今回のような関節疾患も治療対象としておりますので、
他院で改善無いような跛行のご相談も受け付けております。
どうぞお気軽にご来院ください。

2012年6月13日水曜日

胆のう摘出術

先日いらしたワンちゃんの話です。
その子はお年のミニュチュアシュナウザーという種類の
ワンちゃんですが、春の健康診断で超音波検査を行いましたところ、
胆のうが軽度に炎症を起こしていました。
血液検査上でも胆のうの数値が軽度に上昇していました。
治療法といたしましては、飲み薬で様子を見る内科療法と、
胆のうを切除する外科療法とがあります。
そのときは飼い主の方とご相談しまして、なるべくなら
切りたくないとのお話でしたので、2〜3ヶ月内科療法で様子を見る、
ただし、定期的な診察をしましょう。ということになりました。
これも一つの選択肢だと思います。
内科療法は主に飲み薬と処方食で行います。
良くなる事もあれば、残念ながら改善のない事もあります。
その子の場合は残念ながら良化しませんでした。
その場合はやはり外科療法となります。
飼い主の方に説明をし、十分に納得していただいた上で
手術を行いました。手術自体はそれほど難しいものではございませんので
無事、終了する事ができました。
術後の経過も良く、1週間ほどで退院となりました。
胆のうの病気も放置しますと命を落とす事もあります。
そのためには定期的な健康診断をする事をお勧めします。

2012年4月21日土曜日

お花見に行ってきました

先週、大学での診察後、チームの皆と近くの公園へお花見に行ってきました。
教授を囲んで、症例の話や、最新の医療の話を聞く事ができ、
大変有意義な時間を過ごす事が出来ました。
自分の病院に生かしていきたいと思います。

2012年3月30日金曜日

股関節脱臼

先日の大学診療での事です。
1歳のゴールデンレトリバーの子がいらっしゃいました。
飼い主の方のおっしゃいます事は、後ろ足の跛行がある、散歩しても
すぐ疲れて座ってしまうとのことで、診察させていただきましたところ、
お尻を振って歩く症状をしていました。
レントゲンを撮らせていただきましたところ、両足の骨盤と大腿骨を
関節している「股関節」という部分が完全に外れてしまっております。
この犬種によくある、「先天性股関節脱臼」という病気です。
この子の場合は、生まれつき股関節が緩く、外れやすい状態だったのが、
成長過程において完全にはずれてしまい、その状態で筋肉が固まって
しまったものと考えられました。
本来我々の施設では、治療として、人工股関節や股関節を切除する
手術を行うところなのですが、この子の場合の様に両足が
背中側の方へ完全に外れて固まってしまっているような場合は手術が困難です。
非常に残念な状態です。
この子の場合は、飼い主の方と相談いたしまして、
保存療法を行う事となりました。いわゆる、激しい運動をしない、
太らせない、痛みが出たらお薬をのむ、といったことです。
ゴールデンレトリバーをお飼いの方は、歩き方が気になる、散歩しても
すぐ疲れてしまうなどの症状がございましたら、まずはご来院ください。

2012年3月14日水曜日

精巣腫瘍

今回も症例報告です。
皆さん、潜在精巣というのをご存知でしょうか?
男の子の2つあるタマタマが一つあるいは二つともに
正常な場所に無い状態のことを言います。
今回のわんちゃんは6歳の柴犬の男の子ですが、
潜在精巣がおなかの中にありました。
潜在精巣は年齢とともに腫瘍化する可能性が非常に高く、
腫瘍化した精巣を放置しておきますと、命に関わることもあります。
実際今回の子の場合は潜在精巣が腫瘍化し、正常な精巣の10倍ほどの
大きさとなっておりました。元気食欲などの一般的な状態は問題はなかったのですが、
手術にて摘出が最適と判断しまして、外科手術にて、おなかにありました
腫瘍化した精巣を取り出しました。
手術後、わんちゃんは元気です。現在腫瘍の病理検査を依頼しておりまして、
結果が待ち遠しいところです。
読者の方のわんちゃんで片玉の子は、くれぐれもお気をつけ下さい。

2012年2月22日水曜日

環軸亜脱臼

先日いらしたわんちゃんのお話です。
その子は急に前足と後ろ足が歩けないと言う事で
来院されました。
診察をさせていただきましたところ、
首の関節が緩くなってしまう病気になっていました。
病名としましては環軸亜脱臼と言いまして、
首の一番目と二番目にあります靭帯が緩くなることにより
症状が出る病気です。
MRIという断層写真を撮影しますと、その首の部分の脊髄神経
が背中側に押されていることも判明しました。
放置しておきますと、この状態はさらに悪化することが予想されましたので、
外科手術が早急に必要と判断いたしました。
飼い主様と相談の上、緊急に手術をいたしました。
手術は喉の方から首の関節を固定しまして、その後、背中の方より骨を
一部削って脊髄神経の圧迫を取り除く手術をいたしました。
一週間後には、その子は立ち上がる事が出来るようになりまして、
経過は良好だと思います。
チワワちゃんに比較的多いといわれる病気です。
何となく歩き方がふらふらする.....。そんなときはすぐにご来院ください。