2012年3月30日金曜日

股関節脱臼

先日の大学診療での事です。
1歳のゴールデンレトリバーの子がいらっしゃいました。
飼い主の方のおっしゃいます事は、後ろ足の跛行がある、散歩しても
すぐ疲れて座ってしまうとのことで、診察させていただきましたところ、
お尻を振って歩く症状をしていました。
レントゲンを撮らせていただきましたところ、両足の骨盤と大腿骨を
関節している「股関節」という部分が完全に外れてしまっております。
この犬種によくある、「先天性股関節脱臼」という病気です。
この子の場合は、生まれつき股関節が緩く、外れやすい状態だったのが、
成長過程において完全にはずれてしまい、その状態で筋肉が固まって
しまったものと考えられました。
本来我々の施設では、治療として、人工股関節や股関節を切除する
手術を行うところなのですが、この子の場合の様に両足が
背中側の方へ完全に外れて固まってしまっているような場合は手術が困難です。
非常に残念な状態です。
この子の場合は、飼い主の方と相談いたしまして、
保存療法を行う事となりました。いわゆる、激しい運動をしない、
太らせない、痛みが出たらお薬をのむ、といったことです。
ゴールデンレトリバーをお飼いの方は、歩き方が気になる、散歩しても
すぐ疲れてしまうなどの症状がございましたら、まずはご来院ください。

2012年3月14日水曜日

精巣腫瘍

今回も症例報告です。
皆さん、潜在精巣というのをご存知でしょうか?
男の子の2つあるタマタマが一つあるいは二つともに
正常な場所に無い状態のことを言います。
今回のわんちゃんは6歳の柴犬の男の子ですが、
潜在精巣がおなかの中にありました。
潜在精巣は年齢とともに腫瘍化する可能性が非常に高く、
腫瘍化した精巣を放置しておきますと、命に関わることもあります。
実際今回の子の場合は潜在精巣が腫瘍化し、正常な精巣の10倍ほどの
大きさとなっておりました。元気食欲などの一般的な状態は問題はなかったのですが、
手術にて摘出が最適と判断しまして、外科手術にて、おなかにありました
腫瘍化した精巣を取り出しました。
手術後、わんちゃんは元気です。現在腫瘍の病理検査を依頼しておりまして、
結果が待ち遠しいところです。
読者の方のわんちゃんで片玉の子は、くれぐれもお気をつけ下さい。