2014年2月8日土曜日

猫の血栓症

血栓塞栓症とは、体の中でできた血栓が血管を塞いでしまうことで起こる病気です。猫では肥大型心筋症に伴い起こることが多いです。すなわち、心臓からの血流が悪くなり、心臓内で生じた血栓が、足まで流れていって血管を詰まらせるのです。
症状としては詰まる場所にもよりますが、突然の後肢麻痺、脚が冷たい、痙攣、痛み(塞栓部位の)、よだれ、呼吸速迫(開口呼吸)などが見られます。
血栓塞栓症にて血液がうまく流れなくなると、その場所はどんどん壊死し始めるため、ただちに治療を開始する必要があります。
 治療方法は①保存療法②血栓溶解療法③外科療法の大きく3つに分けられます。
①保存療法
これ以上血栓が出来ないようにする方法です。同時に、鎮痛剤や鎮静剤なども用い痛みの緩和を行います。
②血栓溶解療法
ウロキナーゼやt-PA製剤という血栓溶解剤により直接、原因となる血栓を溶かす試みです。t-PA製剤は1本数万円もするので非常に高額となります。
③外科療法
開腹して血栓を除去する方法や血管内カテーテルにより除去する方法です。しかし、麻酔が必要であり、心疾患が原因の場合はリスクが上がります。

当院ではt-PA製剤を常に常備しており、現在までに100%の治療成績を残しています。

猫の血栓塞栓症は予後が一般的に悪いと報告されています。それでも早期に発見し治療することで、血栓が溶け状態が戻る可能性や痛みを緩和してあげることができます。そのためには、定期的な健診で心臓の音を聴いてもらい、必要であれば心臓の超音波検査や胸部レントゲン検査をすることをすすめます。