2014年6月28日土曜日

短頭種気道症候群

 短頭種気道症候群とは、主に短頭種とよばれる円形の頭部を持ち、特有の扁平な顔を持つ、わんちゃん、ねこちゃんでみられる呼吸障害の総称とされています。
呼吸障害の原因としては、生まれつきはなの穴が狭い狭窄性外鼻孔や、軟口蓋と言う上顎から喉までの間に位置するヒダが生まれつき長く、気道を閉塞してしまう軟口蓋過長症、この他にも喉頭室外反、喉頭虚脱、気管低形成があります。
短頭種気道症候群の好発犬種は、パグやフレンチ・ブルドック、シー・ズーなどが挙げられます。ねこちゃんではチンチラ等が挙げられます。

 主な症状として、イビキをかく・イビキの様な呼吸、口をあけて呼吸、うまく息がすえない、など、これらの結果として呼吸困難に陥りやすくなります。
また呼吸困難になることによって散歩などのちょっとした運動でもすぐに疲れてしまったり、呼吸が速くなることで高体温になることもあります。

短頭種気道症候群の診断方法としては、
<麻酔が必要ない検査>
*レントゲン検査;心臓や肺、気管の異常がないかを検査する。
*血液検査;体内に炎症や腫瘍がないかを検査する。
*超音波検査;心臓の動きや肺に水がたまっていないかを検査する。

<麻酔が必要な検査>
*内視鏡検査;咽頭や気管の状態を視認する検査。
*気管内洗浄;気管内に腫瘍や炎症がないか検査します。
*CTMRI;麻酔をかけて心臓、肺、気管をさらに詳しく検査します。
  
以上があります。狭窄性外鼻孔や軟口蓋過長症はある程度、身体検査時に視認することができるため麻酔科での検査までは行わなくてもよい場合が多いですが、その他の喉頭室外反、喉頭虚脱、気管低形成は麻酔下での検査が必要になる場合があります。

 短頭種気道症候群に対する内科治療の目的は症状の緩和であるため、根本的な治療にはなりません。そのため、治療は基本的に外科的治療が行われます。しかし、外科治療の適応となる箇所には限りがあるため、この適応になるのは狭窄性外鼻腔、軟口蓋過長症、喉頭室外反などになります。
ある調査では狭窄性外鼻腔、軟口蓋過長症の症例に対して1歳未満で外科治療を行った場合、96%と高い治療効果が得られたとの結果が報告されています。
当院でも狭窄性外鼻腔、軟口蓋過長症の外科治療を行っており、多く子で呼吸が楽になったとのお話をいただいております。

これからの季節は更に気温も増して、短頭種のわんちゃん、ねこちゃんの呼吸のトラブルも出やすくなってきます。日ごろの呼吸状態や運動の様子などで何か気になることがあればお気軽にご相談ください。

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