2018年7月1日日曜日

当院のワクチンの考え方は?

今日は最近飼い主様から聞かれることも多い「ワクチンって3年に1回でいいってホントですか?」という内容に関してお話ししたいと思います。

まずは、ワクチンの種類に関して少しお話しします
ワクチンで予防できる病気は、日本国内で流通しているものの場合、どこの病院でどのメーカーのものを打っても予防できる病気の種類は7種類です!
(パルボ・ジステンパー・アデノ1・アデノ2・パラインフルエンザ・コロナ・レプトスピラ)
「うちの子は11種ワクチン打ってるよ!?」という方も多いと思いますが、7~11種まではレプトスピラ感染という病気のワクチンに型がいくつ入っているかによって増えているだけで病気の種類は増えていないんです。

実はワクチンの中には「コアワクチン」と言って、世界中どこにいても打ったほうがいいワクチンと、
「ノンコアワクチン」と言って、流行地域やライフスタイルに応じて打つワクチンに分かれます。
3年に1回で良いのでは??と話題になっているのはコアワクチンだけの話です。

コアワクチンとは具体的には、パルボウイルス・ジステンパーウイルス・アデノウイルスを指しています。
コアワクチンに関しては初年度接種抗体価を検査+ブースター(1年後)のワクチネーションを受ければ、
その後は3年より頻回には接種しないと明記されています。

ノンコアワクチンとはパラインフルエンザウイルス・レプトスピラウイルスなどを指します。
ノンコアワクチンに関してはワクチンガイドライン(※)にも1年もしくはそれ以上の頻度で接種するよう推奨されています

※ワクチンガイドラインとは?
…世界小動物獣医師会が定めたワクチンプログラムのこと。ワクチンガイドラインに関する詳しい内容は誰でも簡単にその内容を見ることが出来ます。
「犬 ワクチン ガイドライン」と検索すれば1番最初に出てきます。
ガイドラインというのは診療の目安のようなもので「絶対的な正義」ということではないのでその点は誤解のないように・・・。
 
今打っているワクチンがコアワクチンだけなのかノンコアワクチンも含まれているのか確認してみましょう!
多くの人はノンコアワクチンも含まれているのではないでしょうか
例えば「レプトスピラ感染症」は効果をしっかり保つためには今までの認識を同じように1年に1回もしくはそれ以上の頻度で打つ必要があるということですね。
ですから、ワクチン接種に関してはご自身で3年に1回と判断せずに、必ずかかりつけの動物病院と相談してください。

では、3年に1回ワクチン接種をする場合、打たない年はなにをするのか?打たなくていいという判断はどうするのか?
ということですが、それには「抗体価検査」というものが必要になってきます。

ワクチンというのは、簡単に言えば体の中に体を守る兵隊を作る目的で打ちます。
兵隊が十分に出来上がっていればさらにワクチンを打つ必要はないので間隔をあけることができるのですが、
その兵隊が出来ているかどうかを調べるのが「抗体価検査」です。

そこで抗体が十分に出来ていれば、1年後の追加接種、その後は3年に1回より頻回には接種しないとなっています。
しかし、ワクチン接種後の抗体保有状況を調べたある国内の検査会社の報告によると、ワクチン接種後、コアワクチンすべての抗体を保有していた割合は
1年以内の抗体保有率は80.2%
1~2年後の抗体保有率は75.5%
2~3年後の抗体保有率は59.1%
この検査結果からすると、どの子も3年に1回でいいとはいえない状況です。
逆に最長ではワクチン接種後14年経過後も抗体を保有していた例もあり、そのわんちゃんそれぞれの免疫状態に関して個別に判断する必要がありそうです。

そこでやはり重要になるのは「抗体価検査」です。
今は病院内で検査できるキットなども販売されるようになり、抗体価検査を受けて、
必要があればワクチンを受ける!というのが理想的なワクチンプログラムですね。

しかしながら、「今までそんなことは聞いたことがない。」という方も多いと思います。
また、トリミングサロンやドックランなどお店によっては、1年に1回のワクチンが必須のところもあります。

また、飼い主様にとって一番気にされるであろうお値段の件ですが、ワクチン接種をするのと比較すると、抗体価検査のほうが正直高くなってしまいます。
もっと言えば抗体価検査で「陰性」、つまり抗体がないと診断されればワクチン代がさらにプラスになるわけですから
抗体価検査したらお得ですという話では決してありません。

あくまでもガイドラインに沿った考え方として、
・愛犬に必要のないワクチンはなるべく打たせたくない
・ワクチンアレルギーのリスクを少しでも減らしたい
といった目的でお勧めさせていただいています。


愛犬のご家族がたがどのように考えていただけるかによって、今後「抗体価検査」がスタンダードになっていくかもしれませんね!

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