2013年9月15日日曜日

変性性脊髄症


変性性脊髄症 (Degenerative Myelopathy)
 先日、大学で診察した病気を紹介します。

 後ろ足を引きずって歩くコーギーちゃんが、大学病院に紹介されてきました。
このような症状が見られた場合にはコーギーに多い椎間板ヘルニアをまずは考えてしまいがちですが、他の脊髄疾患にも同様な症状が認められることがあります。

痛いところもないのに、コーギーにこのような症状がある場合には、変性性脊髄症 (Degenerative Myelopathy)という病気も考える必要があります。

 変性性脊髄症は痛みを伴わず、ゆっくりと進行する脊髄の病気です。
10歳くらいから症状が現れ、後ろ足から前足、首へと進行していきます。これらの症状は3年くらいかけて進行します。首に症状が出た場合は、呼吸がしにくくなります。

後ろ足をすって歩く
 腰のふらつきや後ろ足の交差
 ウサギ跳びのような歩き方

現在のところ、変性性脊髄症に対する確定的な生前診断法は残念ながら確立されていません。

血液検査や脳脊髄液検査で炎症性疾患を否定し、MRICTまたは脊髄造影検査などの画像診断で脊髄の圧迫性病変を除外することで、変性性脊髄症の疑いを強めます。
また、その子によっては変性性脊髄症と椎間板ヘルニアを両方持っていることもあるのです。

近年、日本ではウェルシュコーギーの変性性脊髄症が確実に増えてきています。このような症状が見られたら、整形外科を得意とする動物病院で精密検査を受けることが大切です。

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